神道では、亡くなった方の霊魂は神様となり、子孫を見守り、
そして子孫繁栄を助ける、という考えがあります。
江戸時代に伊勢神宮の外宮(げくう)の神職を務めた、
中西直方というかたが、こんな和歌を詠んでいます。
”日の元に生まれ出でにし益人は 神より出でて神になるなり”
意味は、”日本に生まれた人々は神の世界から来て、神の世界へ帰っていく”
身近な大切な人が亡くなるということは、とても悲しいことですけれど、
亡くなられた人は、今までよりも幸せな立場になっています。
だからこそ、お祝いの意味を込めて、その方の栄転を見送りましょう。
そして、亡くなったに別れを告げましょう。
神道のお葬式には、そのような思いが込められているのです。
そして、神道形式で行うお葬式のことを”神葬祭”といいます。
仏式のお葬式の場合は、お葬式の一連の行事をお寺で行うことができますが、
神葬祭では、神社でのお葬式を行うことはできません。
神道では死は穢れであり、忌み嫌います。
ここでいう穢れは、不浄、不潔、という意味ではなく、気が枯れた状態のことを意味します。
親族が亡くなって悲しみに暮れているときは、生命力が減っている状態ですね。
神道は、はつらつとした生命力を重んじる宗教であるため、
その穢れを神聖な神社へ持ち込むことはできません。
そのため、神道のお葬式は自宅か、もしくは斎場を借りて行います。
穢れを祓い、清め、神になるのは、亡くなった日から50日目に行う、
五十日祭においてです。
神葬祭の儀式は、帰幽奉告の儀から始まります。
人が亡くなることを帰幽といい、
ご先祖様に、故人の死を伝える儀式です。
そして、納棺の儀、通夜祭、体から霊魂を移す儀式の遷霊祭、と続きます。
神葬祭最大の儀式は葬場祭です。
神職により祭詞が捧げられ、故人の功績をたたえます。
そして、玉串奉奠を行います。
火葬祭、埋葬祭、を行ったあとは、直会(なおらい)で、神葬祭の一連の儀式が終わります。
葬儀の後は忌日祭を行います。
そして、一年祭、三年祭、と続いて行きます。
それぞれの儀式について詳しくお話しましょう。